ブレイクのダンテ「神曲」への挿絵 |
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悪鬼の頭目が、手下の悪鬼どもに命じて、ダンテとヴィルジリオを第六の嚢への道を案内させようとする。ダンテは彼らを恐れるあまり、二人だけで行こうとヴィルジリオに提案するが、ヴィルジリオは恐れるなと言ってダンテを励ます。かくして二人は、悪鬼たちに案内されて出発するのである。 又曰ひけるは、出でよアーリキーノ、カルカブリーナ、汝も出でよカーニヤッツオ、バルバリッチヤ汝は十の者を率ゐよ 進めリビコッコ、ドラギニヤッツォ、牙のチリアット、グラッフィアカーネ、ファールファレルロ、狂へるルビカンテ 煮ゆる黐の邊を巡視り、またこの多くの岩窟の上に隙なく懸れる次の岩まで此等の者をおくりゆけ 我曰ふ、あゝ師よ、これいかなる事の態ぞや、汝だに路を知らば我何ぞ道案内を要むべき、願はくはこれによらで我等のみ行かむ 汝常の如く心をもちゐなば、見ずや彼等の齒をかみあはせ、眉に殃の兆をあらはすを 彼我に、請ふ汝恐るゝなかれ、彼等に好むがまゝに齒をかましめよ、彼等かくするは煮られてなやむ者のためのみ 彼等は折れて左の堤をとれり、されど各々とまづその長にむかひ、齒にて舌を緊めて相圖とし 長はその肛門を喇叭となしき(地獄篇第二十一曲から、山川丙三郎訳) 歯で舌を噛むのは手下から上役への了解の合図、上役はそれに放屁の音を以て応える。絵は、悪鬼たちに案内されて出発するダンテとヴィルジリオ。悪鬼たちのほうが力強く描かれている。 |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2016 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |