ブレイクのダンテ「神曲」への挿絵 |
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ダンテとヴィルジリオを迎えた天使は、ダンテの額に剣をあて、Pの文字を七つ記す。その後、金銀二つの鍵を使って煉獄の門を開け、彼ら二人を導き入れるのである。 我まづ三度わが胸を打ち、後つゝしみて聖なる足の元にひれふし、慈悲をもてわがために開かんことを彼に乞へり 彼七のPを劒の尖にてわが額に録し、汝内に入らば此等の疵を洗へといふ 灰または掘上し乾ける土はその衣と色等しかるべし、彼はかゝる衣の下より二の鑰を引出せり その一は金、一は銀なりき、初め白をもて次に黄をもて、かれ門をわが願へるごとくにひらき さて我等にいひけるは。この鑰のうち一若し缺くる處ありてほどよくとざしの中にめぐらざればこの入口ひらかざるなり 一は殊に價貴し、されど一は纈を解すものなるがゆゑにあくるにあたりて極めて大なる技と智を要む 我此等をピエルより預かれり、彼我に告げて、民わが足元にひれふさば、むしろ誤りて開くとも誤りて閉ぢおく勿れといへり。 かくて聖なる門の扉を押していひけるは。いざ入るべし、されど汝等わが誡めを聞け、すべて後方を見る者は外に歸らむ。 聖なる門の鳴よき強き金屬の肘金、肘壺の中にまはれるときにくらぶれば かの良きメテルロを奪はれし時のタルペーアも(この後これがために瘠す)その叫喚きあらがへることなほこれに若かざりしなるべし 我は最初の響きに心をとめてかなたにむかひ、うるはしき調にまじれる聲のうちにテー・デウム・ラウダームスを聞くとおぼえぬ わが耳にきこゆるものは、あたかも人々立ちて樂の器にあはせてうたひその詞きこゆることあり きこえざることある時の響きに似たりき(煉獄篇第九曲から、山川丙三郎訳) 絵は、ダンテの額に七つのP字を記す天使を描く。 |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2016 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |