HOME|本館ブログ|東京を描く|水彩画|あひるの絵本|万葉集をよむ|プロフィール|掲示板| サイトマップ |
ーウィリアム・ブレイクの詩とイラストの世界ー |
土くれと石ころ The Clod & the Pebble |
愛は自分の楽しみを求めない 愛は自分への気遣いはしない それは他の人に安らぎをもたらし 地獄の絶望の上に天国を建てようとする ちっぽけな土くれがそう歌った 牛たちの足に踏みつけられながら でも小川を流れる小石は 次のように調子よくささやいた 愛は自分自身を楽しませるためのもの 自分の快楽のために他の人はある 他人の不安の中にも喜びはある そして天国にも地獄を作って憚らない |
「土くれと石ころ」と題するこの詩は、愛とは何か、その本質はどこにあるかについて歌ったものである。世の中には愛する対象にささげられる、献身的で無私の愛もあれば、もっぱら他人の愛を享受するのみの利己的な愛もある。 ブレイクはこのことを、土くれと石ころに事寄せて歌う。土くれは無心の愛を、石ころは利己の愛をシンボライズしている。両者はそれぞれ自分の考えを述べ合うのみで、互いに交じり合うことはない。 無心の愛は、「無垢の歌」に盛られた人間の尊いを暗示しており、利己の愛はこれから展開される「経験」の世界を先取りしているのであろう。 |
The Clod & the Pebble William Blake Love seeketh not Itself to please, Nor for itself hath any care; But for another gives its ease, And builds a Heaven in Hells despair. So sang a little Clod of Clay, Trodden with the cattles feet: But a Pebble of the brook, Warbled out these metres meet. Love seeketh only Self to please, To bind another to Its delight: Joys in anothers loss of ease, And builds a Hell in Heavens despite. |
前へ|HOME|無垢の歌|経験の歌|次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである