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ーウィリアム・ブレイクの詩とイラストの世界ー |
幼子の嘆き(ブレイク詩集:経験の歌) |
母ちゃんはうめき 父ちゃんは泣く 恐ろしいところに生まれてきちゃった 力なく 真っ裸で オギャアと泣くだけ 雲に隠れた小悪魔のように 父ちゃんの手の中でじたばたし 縛り紐に逆らって暴れるけれど 自分でせいぜいできることは 母ちゃんのおっぱいに吸い付くだけ |
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「幼子の嘆き」と題するこの詩は、「無垢の歌」にある「生まれた喜び」の対極を歌ったものだ。世の中には望まれて生まれてくる子もあれば、このように望まれずして生まれてくる子もある。望まれない子は、両親や世の中の雰囲気を敏感に感じ取り、反発せざるを得ない。 ここでは自分を愛してはくれない両親に対して、幼子は危険を感じ取っている。しかし無力な幼子は力なくじたばたするのみだ。そのさまが小悪魔のようだというのは、いかにも悲しい比ゆであるといえる。 だが幼子は生きる希望を捨てはしない。精一杯の力を振り絞って、母親の胸にしゃぶりつくのである。 |
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Infant Sorrow William Blake My mother groand! my father wept. Into the dangerous world I leapt: Helpless, naked, piping loud; Like a fiend hid in a cloud. Struggling in my fathers hands: Striving against my swadling bands: Bound and weary I thought best To sulk upon my mothers breast. |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである