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ーウィリアム・ブレイクの詩とイラストの世界ー

 毒の木 Poison Tree (ブレイク詩集:経験の歌)

 
  友達に腹がたっても
  怒りはやがておさまるもの
  だが敵に腹がたつと
  怒りは決しておさまらない

  朝な夕な入念に
  涙でもって水をやり
  ほくそ笑みと欺瞞でもって
  怒りを暖め育めば

  怒りは日ごとに大きくなり
  やがて見事なりんごの実がなる
  敵は輝くりんごを見ると
  それが私のものだと知って

  夜の帳が下りるのを待ち
  私の庭に盗み入ったが
  憎い敵は夜明けとともに
  りんごの木の下でのびているのだ
  

毒の木とは、人間の怒りが醜悪な姿をとって現れたものである。人間はときに怒ることがあっても、相手が仲のよい友達なら、やがて納まるものであるが、怒りの対象が仲の悪いものであれば、心の中に深く根を張って肥大化する。そして制御できない化け物にも変化する。そのような制御できない怒りを、ブレイクは毒の木にたとえたのである。

この毒の木を、人間は意地の悪い企みで育て上げる。そしてその毒を以て敵を懲らしめようとする。そのためには毒の木には、相手をそそのかすだけの魅力がなければならない。りんごの実はその象徴なのだろう。

りんごの毒にあたりのびている敵を見て、私はほくそ笑む。人間性の一面としての攻撃性を、よく表している詩であるといえよう。




A Poison Tree William Blake

  I was angry with my friend;
  I told my wrath, my wrath did end
  I was angry with my foe:
  I told it not, my wrath did grow.

  And I waterd it in fears,
  Night & morning with my tears:
  And I sunned it with smiles,
  And with soft deceitful wiles.

  And it grew both day and night.
  Till it bore an apple bright.
  And my foe beheld it shine,
  And he knew that it was mine.

  And into my garden stole,
  When the night had veild the pole;
  In the morning glad I see;
  My foe outstretchd beneath the tree.

  

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