HOME本館ブログ東京を描く水彩画あひるの絵本万葉集をよむプロフィール掲示板| サイトマップ



ーウィリアム・ブレイクの詩とイラストの世界ー

 スクール・ボーイ The School Boy


  僕は夏の夜明けに起きるのが好きだ
  小鳥たちは木の枝でさえずり
  遠くからは狩人のホルンが聞こえ
  ひばりも僕も歌を歌う
  なんて素敵な仲間なんだ

  でも夏の朝に学校へ行くのは
  なんていやなことだろう
  鵜の目鷹の目に監視されて
  僕らは一日を過ごさなきゃならない
  ため息ついたり びくびくしながら

  机に向かってかがみこみ
  不安な時間を過ごさなきゃならない
  ノートブックなんか糞食らえだ
  教室にうずくまってるのはうんざりだ
  つまんないことばかりで時間がたつ

  小鳥は飛び回るために生まれてきたのに
  籠に閉じ込められたら可哀そう
  子どもだって同じことさ
  びくびくしながら いじけてないで
  子どもらしく遊びたいもの

  父さん母さん 蕾を摘んで
  花を台無しにしないでおくれ
  やわらかい葉を刈り取って
  繁るのをやめさせないで
  たとえそれらのためだと思っても

  夏の日が喜びにあふれ.
  果物がたわわに実り
  季節の収穫を取り入れ
  実りの年を祝福できるように
  冬の突風を吹き飛ばそう
  


この詩は、夏の朝のすがすがしさを歌うことから始り、そのすがすがしい空気の中で遊ぶことも出来ず、学校の机に縛り付けられながら、退屈な時間を過ごさなければならない少年の嘆きを歌ったものだ。

ブレイクは学校だけが教育の場ではないと考えていた。実際ブレイク自身、ありきたりの学校教育は受けていないのである。

少年は自然の中でのびのびと遊びまわることによっても、様々な知識や経験を身につけていく。自分のかつての少年時代のように。だから、子どもたちを学校に閉じ込めて、感性が豊かに育つのを妨げてはならない。子どもたちには、自然に触れ合う時間をもっと与えてやるべきだ。これが詩の中で、ブレイクが主張していることである。




The School Boy William Blake

  I love to rise in a summer morn
  When the birds sing on every tree;
  The distant huntsman winds his horn,
  And the sky-lark sings with me.
  O! what sweet company.

  But to go to school in a summer morn,
  O! it drives all joy away;
  Under a cruel eye outworn,
  The little ones spend the day
  In sighing and dismay.

  Ah! then at times I drooping sit,
  And spend many an anxious hour,
  Nor in my book can I take delight,
  Nor sit in learning's bower,
  Worn thro' with the dreary shower.

  How can the bird that is born for joy
  Sit in a cage and sing:'
  How can a child, when fears annoy,
  But droop his tender wing,
  And forget his youthful spring?

  O! father & mother, if buds are nip'd
  And blossoms blown away,
  And if the tender plants are strip'd
  Of their joy in the springing day,
  By sorrow and care's dismay,

  How shall the summer arise in joy,
  Or the summer fruits appear
  Or how shall we gather what griefs destroy,
  Or bless the mellowing year,
  When the blasts of winter appear?



前へHOME無垢の歌経験の歌次へ




                       


作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである