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ーウィリアム・ブレイクの詩とイラストの世界ー

 子守の歌 Nurse's Song


  子どもたちの声が野原に響き
  笑い声が丘にこだまするとき
  私の心はくつろぎを覚え
  何もかも安心に包まれる

  “お帰り子どもたち 日が沈み
  夜露がわいてきましたよ
  遊ぶのをやめて帰りましょう
  朝が来ればまた遊べる“

  “いやいや まだそのときじゃない
  まだまだ眠くないからさ
  それに 小鳥は空を飛び
  丘には羊がいっぱいだもの“

  “では日の沈み終わるまで
  そしたらきっと帰るのよ“
  跳ねたり 叫んだり 笑ったり
  子どもらの声が丘にこだました
  


「スクール・ボーイ」においては、子どもたちをのびのびと遊ばせるべきだといっていたブレイクが、この詩ではそうした子どもたちの遊ぶ姿を描いている。子守が付き添っているから、みな幼い子どもたちなのだろう。彼らが楽しそうに遊ぶのをみると、子守も心が和らぐのだ。

夕べが近づいてきても、子どもたちは遊ぶのをやめようとはしない。まだ眠くないのだし、仲間の動物たちも遊んでいるのだから。彼らにとって時計上の時間は意味を持たず、自分たちの生きるリズムが自然な時間の刻みなのだ。

そんな子どもたちの言い分に、子守もあっさり譲って遊ばせる。子どもたちの果てしない歓声が伝わってくるような作品である。




Nurse's Song William Blake

  When the voices of children are heard on the green,
  And laughing is heard on the hill,
  My heart is at rest within my breast,
  And everything else is still.

  "Then come home, my children, the sun is gone down,
  And the dews of night arise;
  Come, come, leave off play, and let us away
  Till the morning appears in the skies."

  "No, no, let us play, for it is yet nay,
  And we cannot go to sleep;
  Besides, in the sky the little birds fly,
  And the hills are all cover'd with sheep."

  "Well, well, go & play till the light fades away,
  And then go home to bed."
  The little ones leaped & shouted & laugh'd
  And all the hills ecchoed.

  

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