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ーウィリアム・ブレイクの詩とイラストの世界ー

 神のイメージ The Divine Image


  慈悲と憐憫、平和と愛に
  人は苦境の中で祈る
  これら喜びの美徳に向けて
  人は感謝の念を捧げるのだ

  慈悲と憐憫、平和と愛こそ
  我らが父 神そのもの
  慈悲と憐憫、平和と愛が
  父と 子と 精霊なのだ

  慈悲は人間の心を持ち
  憐憫は人間の顔を持つ
  愛は人間の聖なる姿
  平和は人間を包む衣装

  如何なる男 如何なる人も
  苦境の中で祈るときには
  人間の聖なる姿に祈るのだ
  愛と憐憫、慈悲と平和に

  如何なる人も人間を愛せよ
  異教徒 トルコ人 ユダヤ人たりとも
  慈悲と愛と憐憫と
  神の宿り給う人間の姿を
  


この詩にはブレイクの宗教感情がよく現れている。それは一言でいえば、理神論 Deism である。神は超越的な存在ではなく、人間の尊い感情の中に姿を表す。それは慈悲であり、愛であり、人間が相互に支えあう平和である。

ブレイクは若いときから、正統の英国教会ではなく、分離派のプロテスタントであった。かれの社会に対する激しい態度は、そのような宗教観にも関連している。

ブレイクの宗教観からすれば、すべての宗教は一つであり、人はどのような宗教を信じるかにかかわらず平等である。どんな人間の姿にも、神は宿りたまうからだ。




The Divine Image William Blake

  To Mercy, Pity, Peace, and Love
  All pray in their distress;
  An to these virtues of delight
  Return their thankfulness.

  For Mercy, Pity, Peace, and Love
  Is God, our father dear,
  And Mercy, Pity, Peace, and Love
  Is Man, his child and care.

  For Mercy has a human heart,
  Pity a human face,
  And Love, the human form divine,
  And Peace, the human dress.

  Then every man, of every dime
  That prays in his distress,
  Prays to the human form divine,
  Love, Mercy, Pity, Peace.

  And all must love the human form,
  In heathen, turk, or jew;
  Where Mercy, Love & Pity dwell
  There God is dwelling too.

  

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